核心内容の要約
かつて中流家庭の「階層の象徴」とされていたピアノだが、今では手放せない「役立たず」になってしまった。全国の年間販売台数は6年間で70%以上減少し(2018年の35.6万台から2024年には10万台未満に)、珠江ピアノなどの大手企業の純利益は4100%も急落し、7000以上のピアノ店が閉店した。中古ピアノの価格も急落し(3万円で購入したピアノが闲鱼(中国のオークションサイト)で4000円で売られてもなかなか売れない)、物流も面倒で、家の中で場所を取るだけだ。その背景には、政策による芸術分野の加点制度の廃止や消費者の嗜好の変化があり、功利的な価値が失われたことがある。一方で、新たなユーザー層(退職した高齢者や若い女性)が現れており、アメリカや日本も同様の道を歩んで転換を図っている。また、新たな教育の不安(子供向けプログラミングやAI)がピアノに取って代わり、「収益を上げるための道具」となっている。
ピアノが「人気を失った」3つの主な理由
1. 政策による打撃:2018年に教育部が芸術特技生の進学加点制度を廃止し、2021年の「双減」政策によりピアノのレベル試験のトレーニング市場が崩壊した。以前はピアノを習うことで進学に有利だったが、今では証明書が加点にも進学にも役立たないため、親のモチベーションが失われた。
2. 消費者の嗜好の変化:ピアノのレッスン料は1回300円、伴奏料は150円、レベル試験の費用は数千円もかかる。これだけのお金で家族の1年分のスーパーの買い物代が賄える。住宅価格が下がり、収入が停滞しているため、家族はキャッシュフローを優先し、「情操を養う」よりもまずは生活費を確保することを選ぶ。
3. 功利的な価値の消失:かつてはピアノを習うことで子供が「上流社会に入れる」と考えられていたが、今では帰国した大学院生でさえ仕事が見つからない。数十万円をかけて習ったピアノも一生使わないため、簡単に手放される。
中古ピアノの「役立たずな状況」
- 価格の急落:3万円で購入したピアノが闲鱼で4000円で売られても買い手がいない。ピアノは耐久性のある消費財だが、中古市場の需要が少なく、価値が急速に下がる。
- 物流の問題:ピアノは大きくて重いため、通常の宅配では配送できず、専門の引越し業者を利用すると費用がかかる。
- 家の中での邪魔:ピアノの蓋には雑物が積まれ、湿気を吸うと修理にお金がかかる。また、ランニングマシンのように服を掛けることもできず、リビングルームのスペースを占めるだけだ。
ピアノ市場の新たな「プレイヤー」
子供向け市場が冷え込んでいるが、以下の2つのグループがピアノを再び楽しんでいる:
- 退職した高齢者:時間がたくさんあるため、ピアノを習って時間を潰し、晩年を豊かにしている。レベル試験を受けたり基本を練習したりせず、『茉莉花』や『我和我的祖国』のような流行曲やクラシック曲を弾くだけだ。
- 若い女性:仕事の合間にリラックスし、好きな流行曲(『カノン』や『晴天』など)を弾いて「癒し」を求めている。彼女たちのニーズにより、ピアノは再び「楽器」としての本来の役割に戻っている。
アメリカと日本の転換の例
アメリカと日本も「ピアノブーム→急落→転換」という道を歩んできた:
- アメリカ:ピーク時の年間販売台数は36.4万台だったが、その後1万台未満に減少。ヤマハなどのブランドはエレクトリックピアノやインテリジェントピアノに転換し、大人向けのアマチュア市場が主流になった。
- 日本:70年代には中流家庭のほとんどがピアノを持っていた(年間販売台数30万台)。バブルが崩れた後、販売台数は10分の1に減少した。転換の方向性は「音楽エコシステム」であり、ピアノの販売だけでなくレッスンや関連商品も提供している。
教訓:ピアノを「階層の象徴」という枠から解放し、一般の人々が気軽に楽しめる楽器にすることが鍵だ。
教育に対する不安の影響
ピアノが流行らなくなったが、新たな「収益源」となるものが登場している:子供向けプログラミング、AIレッスン、ロボット教室など。これらの教材の売り方はピアノのレベル試験と同じで、「プログラミングを学べば競争で有利になる」「AIを使えないと新世代の文盲だ」といった言葉が使われている。本質的には不安を煽るものであり、親は子供が遅れを取るのを恐れて高額な教材や証明書を購入する。ただ、不安の対象が「芸術」から「AI」に変わっただけだ。
最後のまとめ
ピアノが流行らなくなったのは、音楽が好まれなくなったからではなく、親の不安が別のものに移っただけだ。教育が「値上がりを追い求める投資」になると、どんな「商品」も時代遅れになる。自宅に使わないピアノはありますか?コメント欄でぜひ話し合いましょう。