虎嗅

**ARグラスの初出荷後、LeEcoはAI戦争に勝てるのか?**

原文:AR眼镜出货第一之后,雷鸟能否赢下AI之战?

核心内容の要約

レイノウスのスマートグラスはAR(拡張現実)分野で世界出荷量でトップに立っていますが、業界のトレンドはAIグラス(人工知能機能を搭載したグラス)に移っています。レイノウスはディスプレイ機能を備えたAIグラス「iO」を発売し、自社の光学技術の強みを活かそうとしています。しかし、3つの大きな課題に直面しています。1つ目は、AR市場の規模が非常に小さいことです(2025年の世界出荷量はわずか106万台)で、AIグラス市場(870万台)の8倍以上です。2つ目は、レイノウスが低価格戦略で市場シェアを拡大しても利益を上げられておらず、資金調達に大きく依存していることです。3つ目は、AIグラスでは音声認識やエコシステムの統合が重視されており、レイノウスの光学ディスプレイ技術が逆に足かせになる可能性があることです。将来の成功は、ユーザーがディスプレイ付きのAIグラスを長期間着用するかどうかにかかっています。

詳細な解説

1. ARグラス:世界トップに立ったが、市場は「小さい」

レイノウスはARグラス分野で確かに優れています。2025年の世界ARグラスの出荷量は106万台で、その27%(約28.6万台)を占めており、業界でトップです。しかし、ARグラスの市場規模は非常に小さく、「クラスで1番だがクラスメートが100人しかいないのに、隣のAIグラスのクラスには800人以上いる」という状況です。

一方、AIグラスの2025年の世界出荷量は870万台で、前年比322%の増加であり、メタ(Meta)だけでその85%(740万台)を占めています。興味深いことに、メタも以前はディスプレイ付きのスマートグラスを試みましたが売れず、後にディスプレイなしのAIグラス(例:Ray-Ban Meta)に転向して大ヒットしました。これは、ユーザーが今求めているのは「会話ができたり、翻訳ができたり、メモが取れたりするAIアシスタント機能」であり、単に仮想画像を重ねるARグラスではないことを示しています。

2. 低価格で市場を獲得:損をしても知名度を上げ、資金調達に頼る

レイノウスがAR分野でリードできたのは「低価格戦略」のおかげです。例えば、2025年のレイノウスAir4は1599元で、2年前のAir2より900元安いです。2026年のGTは1899元で、Dolby Visionや空間計算などの機能が追加されていますが、Air4 Proよりも200元しか高くありません。この「コストパフォーマンス」によりレイノウスは市場を急速に獲得しましたが、利益を上げることはできていません。

CEOの李宏伟(リー・ホンウェイ)はまだ利益を上げていないと認めており、500万~1000万台を売る必要があると述べていますが、現在のレイノウスARの出荷量は28万台に過ぎません。運営を維持するために、2021年の設立以来10回の資金調達を行っており(年に2回のペース)、つまり「投資家のお金で運営している」状態です。もし将来AIグラスのトレンドが冷めれば、投資家からの資金が得られなくなる可能性があります。

3. 新しい試み:ディスプレイ付きのAIグラス「iO」で「長所を活かし短所を避ける」

AIグラスのトレンドに応じて、レイノウスはディスプレイなしのグラスを作るのではなく、緑色のディスプレイを備えたiO AIグラス(メモ機能、翻訳機能、字幕表示機能など)を発売しました。なぜかというと、レイノウスは長年AR分野で研究を重ねており、光学ディスプレイ技術(例:グラスを軽くし、表示をクリアにする)に長けているからです。この強みをAIグラスに活かし、メタやシャオミのディスプレイなしのAIグラスと差別化を図ろうとしています。

しかし、この試みにはリスクがあります。iOグラスはディスプレイなしのAIグラスよりも重い(34g)し、メタのRay-Ban Metaは約45gです。ユーザーがディスプレイ機能のためにお金を払うかどうかが問題です。

4. 光学技術の強みは「両刃の剣」:AIグラスにはディスプレイが不要かもしれない

AIグラスの核心は「インテリジェントアシスタント」であり、ユーザーは主に音声認識を使っています(天気の確認、翻訳、メモなど)。ディスプレイは必須ではないかもしれません。例えば、シャオミのAIグラスにはディスプレイがありませんが、自社の大規模なAIモデルや「人・車・家」のエコシステム(シャオミのスマートフォン、車、家電の制御が可能)により、2026年第1四半期に中国のディスプレイなしAIグラス市場で28%のシェアを獲得し、トップに立ちました。

レイノウスの強みは光学技術とハードウェアですが、大規模なAIモデルやエコシステムサービスは外部パートナーに依存しています。もしユーザーが「家のスマートデバイスとの連携」や「AIの回答の正確さ」を重視するならば、レイノウスのディスプレイ技術は役に立たないかもしれません。さらに、ディスプレイがあるためにグラスが重くなり、バッテリーの持続時間が短くなると、競争力を失う可能性があります。

5. 未来の鍵:ユーザーは「毎日ディスプレイ付きのグラスを着用したいか?」

レイノウスのiOグラスの意義は、ユーザーがディスプレイ付きのAIグラスを長期間着用するかどうかをテストする「実験」です。もしユーザーがディスプレイ機能(例:字幕表示機能、リアルタイム翻訳)を実用的だと感じ、毎日着用したいと思えば、レイノウスの長年の光学技術への投資は意味があります。しかし、ユーザーが「音声だけで十分で、ディスプレイは不要」と思えば、レイノウスのAR技術は逆に足かせになるでしょう。自社の強みを捨てて他社のエコシステムを学ぶのは非常に難しいです。

レイノウスにとって、現在の「出荷量トップ」はもはや最も重要ではありません。最も重要なのは、ユーザーがそのグラスを毎日どれくらいの時間着用するか、頻繁に使える機能があるかです。これらのデータがAIグラス時代に生き残るかどうかを決めるでしょう。

総括

レイノウスのAR分野での成功は「技術的優位性+低価格戦略」の結果ですが、業界のトレンドは変わりつつあります。今、レイノウスが直面しているのは「ディスプレイ機能を捨てるかどうか」という選択です。ディスプレイを維持すればニッチ市場になるかもしれませんが、差別化が図れます。しかし、ディスプレイを捨てればメタやシャオミとエコシステムで競争しなければなりません。最終的には、ユーザーの選択がレイノウスの未来を決めるでしょう。結局のところ、スマートグラスの究極の目標は「普通の眼鏡のように毎日着用できるもの」であり、「たまに使うおもちゃ」ではありません。