虎嗅

アップル、経営陣交代の転換点を迎える:テヌースの継承と変革

原文:苹果迎来换帅拐点:特努斯的传承与变局

核要内容のまとめ

2026年9月1日、アップルは8代目のCEOとしてジョン・テルヌースを迎えました。彼は15年間アップルを率いてきたティム・クックの後任となります。テルヌースはアップルの「古参社員」(25年のキャリア)で、ハードウェアエンジニア出身であり、Mチップ、iPad、AirPods、Vision Proといった核心製品の開発を主導してきました。しかし、彼が就任した後には3つの重要な問題に取り組む必要があります:AI技術が競合他社に遅れをとっていること、サプライチェーンの情報漏洩危機、iPhoneの収益比率が高すぎること(アップルの収益の半分がiPhoneに依存している)。一方で、アップルの製品の本質や企業文化は変わらないものの、CEOのスタイルはクックの「外向的で社交的なタイプ」からテルヌースの「内向的で技術志向のタイプ」へと変わる見込みです。将来的には、アップルは技術と製品の力で競争を行うことになるでしょう。

詳細な解説

1. テルヌースとは誰か?——アップルのハードウェアエンジニア界の実務家

テルヌースは外部から来た人物ではなく、アップル内部で育った「自社の人材」です。2001年にアップルに入社し、チーフデザイナーのジョナサンのもとで製品設計を手がけた後、ハードウェアエンジニアリングの副社長に昇進し、アップルの主要製品のハードウェア開発をほぼ10年間主導してきました。

  • 主な功績:Macをインテル製チップから自社開発のMシリーズに切り替え(性能とバッテリー寿命の向上)、AirPodsの実現(コンセプトから世界的なヒット製品への転換)、Vision Proの初期ハードウェア開発(AR/VRの複雑な技術を量産可能な製品に変えた)。
  • 能力の特徴:彼は「製品バランスの達人」と言えます。デザイナーの大胆なアイデア(例:軽量で薄型のデザイン)とエンジニアの技術的制約(例:性能やコスト)を見事に調和させることができます。例えば、今年3月に発表されたMacBook NeoではiPhoneのA18チップを搭載し、価格を4000元に抑えながらもアップルの品質を維持し、発売3週間で110万台を売り上げ、Macの販売台数を10%増加させました。

簡単に言えば、テルヌースは「設計図をヒット製品に変えることができる人物」であり、これが彼がCEOに選ばれた主な理由です。製品を理解し、それを実現できる能力を持っています。

2. 最も緊急の課題:AI技術の遅れ——グーグルやマイクロソフトにどう追いつくか?

クックが残した問題の中で、AIは最も顕著なものです。

  • 現状:アップルは早くからAIの研究を始めましたが、最近2年間ほとんど進展がありません。競合他社のグーグルのGeminiやマイクロソフトのCopilotはアプリ間で連携が可能です(例:ドキュメント内で画像や動画を直接生成する)。一方、アップルのSiriはまだ「人工知能の初期段階」にあり、自社製品にはほとんどAI機能がありません。
  • **テルヌースが解決すべきは「AIがあるかどうか」ではなく、「AIをどのように活用するか」です。例えば、iPhone、iPad、Mac間でAIをシームレスに連携させる方法や、アップルのエコシステム(iCloud、Apple Musicなど)との深い統合方法です。これは技術的な問題だけでなく、戦略的な問題でもあります。AIで遅れをとると、アップルのハードウェア製品(例:iPhone)はAI時代に競争力を失う可能性があります。

これはテルヌースにとっての「最初の試練」であり、うまくいかなければアップルはAI分野でさらに後れを取るかもしれません。

3. サプライチェーンの情報漏洩:優位性をどう再構築するか?

今年6月、インドのタタ・エレクトロニクスがハッカーの攻撃を受け、アップルの機密文書20万件が漏洩しました。その中には:

  • マザーボードの設計図(競合他社が設計をコピーできる)
  • BOMリスト(すべての部品のコストとサプライヤーのリスト)——これはアップルの命脈です。アップルは「情報の差」を利用してサプライヤーに価格を圧迫していました(例:ある部品のコストが10元なら11元に値下げして利益を得ていました)。しかし、今では競合他社もコストを知っているため、アップルの交渉力は失われました。

テルヌースは2つの課題に直面しています:

  • 短期的には、来月発売予定のiPhone 18の生産能力を確保し、情報漏洩による部品供給の問題を避ける必要があります。
  • 長期的には、サプライチェーンを再構築する必要があります。サプライヤーを変更するか、価格交渉を再開するか、より安全な技術を使用して情報漏洩を防ぐかです。しかし、テルヌースにはクックのようなサプライチェーン管理の経験がありません(クックは以前サプライチェーン部門の責任者でした)。これは彼にとって大きな課題です。

4. 長期的な懸念:iPhoneに依存しすぎる状況——どれくらい持続できるか?

iPhoneはアップルの収益の50.4%を占めており、アップルにとって非常に重要な製品です。しかし、問題は以下の通りです:

  • 中国市場の減少:2021年から2024年にかけてiPhoneの中国での販売台数は減少しており、現在は2位ですが、HuaweiやXiaomiなどの競合他社の出荷台数は4000万台を超えています。価格や機能面でiPhoneには優位性がありません。
  • 新たな成長点の欠如:クックの時代にはHomePodやVision Proなど多くの新製品が試みられましたが、大きな成功には至りませんでした。Vision Proは高価で(2万円以上)、一般消費者には手が届きませんでした。自動車事業も失敗に終わりました。

テルヌースは次の「iPhone級」の製品を見つける必要があります。ジョブズがiPhoneを発明したように、業界を変えるような製品です。しかし、現在のところスマートホーム、AR/VR、AIなどの分野では突破口が見えません。これが彼にとって最も頭痛の種です。

5. 変わるものと変わらないもの:アップルは変わらないが、スタイルは変わる

  • 変わらないのは本質:アップルの核心文化は変わりません。例えば、細部に対する極めたこだわり(1ピクセルや1文字も見逃さない)、エンジニアとデザイナーの協力(製品を美しく使いやすくする)。テルヌースの経歴はこれを保証しています(彼はジョナサンのチーム出身で、アップルの製品開発のロジックを理解しています)。
  • 変わるのはCEOのスタイル:クックは「社交的なCEO」で、イベントに参加したりファンと写真を撮ったり、社会的責任について語ったりしていました。テルヌースは「技術志向のCEO」で、内向的で控えめであり、感情的な表現には長けていません。将来的には、アップルの発表会ではチップやAIなどの技術的な詳細についてより多く語られるでしょう。

簡単に言えば、アップルの「魂」は変わりませんが、外向きのイメージは変わるでしょう。

総括

テルヌースの就任により、アップルは「エンジニア主導の新時代」に入ります。彼の強みは製品を理解し、それを実現できることですが、AIの遅れ、サプライチェーンの問題、中国市場の減少など多くの課題に直面しています。これらをどう克服するかが、アップルの将来を左右するでしょう。