一、核心内容の一言でのまとめ
国内の医薬品流通業界のトップ企業である九州通は、今年上半期の売上高が前年比で7.6%増加したにもかかわらず、純利益は約17%減少しました。半年度の業績説明会では、意図的に重要な問題を避ける姿勢が見られました。戦略的なハイライトや事業革新に関する前向きな質問にのみ答え、メディアからの「利益が売上高に追いつかない」「数十億円の未回収債権」「常にキャッシュフローが赤字」といった核心的な問題には一切触れませんでした。その背景には、長年にわたり売上高は増加しても利益が増加しないという実態、350億円以上の未回収債権、高い負債、そして上場以来に資本市場から511億円を調達しても財政難を埋めるには不十分であるという現実が隠されています。
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二、ポイントごとのわかりやすい解説
1. 「業績説明会が『お世辞を言う場』になってしまった:鋭い質問は無視され、聞きたいことだけに答える」
通常の上場企業の業績説明会では、すべての株主に真実を伝えることが目的であり、質問が良いものであれ悪いものであれ、真摯に答えなければなりません。しかし九州通の説明会では全く異なる様子でした。
1時間の会議で出た20の質問のうち、17つは「新しい戦略のハイライトは?AIの導入による成果は?」といった、企業に有利な質問でした。会議の最後の数分に提出された質問でさえもすぐに答えられました。一方で、メディアが最初に指摘した経営上の問題については、会議中ずっと無視され、会議が終わっても誰も回答しませんでした。
これは、子供の保護者会で先生が「最近の成績が下がっている理由を聞く」のに、親が「子供が絵を描いて賞を取ったり、ランニングで1位になったりしたことを自慢する」ようなものです。明らかにこれらの問題の答えは恥ずかしいため、公にはできないのです。
2. 「売る医薬品は増えているのに、稼ぐお金は減っている:3年連続の『見かけ上の成長』」
九州通は国内最大の医薬品卸売業者の一つであり、全国の病院や薬局の主要な供給元です。通常ならば、売る医薬品が増えれば収益も増えるはずですが、近年の業績は常識に反しています。
2020年に上場して以来、純利益はピークに達しましたが、その後は下降傾向にあります。2024年の売上高は増加しましたが、非経常利益は7.47%減少し、2025年は売上高が6.3%増加したものの純利益は10%減少しました。2026年上半期の売上高は7.6%増加しましたが、純利益は約17%減少しました。
九州通の説明によると、「昨年は物流パークで販売された金融商品(公募REITs)から追加収入があったため」とのことですが、この偶発的な収入を除外しても、医薬品の売上による収益の増加率は3.2%に過ぎず、売上高の増加率の半分にも満たない状態です。これは、小売店が今年の売上が昨年より7万円増えたとしても、実際に稼いだお金が3千円しか増えないということです。つまり、売れる量は増えても利益は増えず、お金がどこかに漏れているのです。
3. 「350億円以上の未回収債権:売上高の100円に対して41円しか現金を受け取れていない」
九州通が最も悩んでいるのは、未回収の巨額の債権です。病院や薬局は医薬品を購入する際に現金を支払うことはほとんどなく、代わりに借用書を発行して数ヶ月から半年後に支払います。これらの借用書がいわゆる「売掛金」です。
今年6月末時点で、九州通が抱える売掛金の総額は356.72億円に達し、昨年末より68億円増加しています。つまり、上半期に得た872億円の売上高のうち40%以上が現金化されていないのです。同社は「年末に一斉に債権回収を行う」と説明していますが、2023年から2025年までの年末の売掛金残高は毎年250億円以上であり、毎年2億円以上の損失が発生しています。これは、小売店が近隣のスーパーに商品を配送する際に、100万円分の商品のうち40万円以上が売掛金として残り、毎年2万円から3万円が無駄になるのと同じ状況です。
4. 「常にキャッシュフローが赤字で、6年間で511億円を調達:実質的には借金で生き延びている」
いわゆる「経営キャッシュフローがマイナス」とは、通常の売上から得られる現金が、商品の仕入れや給与の支払いに足りない状態です。九州通は過去10年間で、上半期のキャッシュフローがほぼ常にマイナスであり、今年上半期だけで27.8億円を支出しました。年末に一斉に債権回収を行ってようやくキャッシュフローをプラスにすることができました。
現在、九州通が抱える短期銀行借入金は153.8億円に達し、昨年末より34%増加しており、総資産負債率は70%に近づいています。上半期だけで銀行に支払った利息だけで6億円近くになり、昨年より18%増加しています。資金不足を補うために、過去6年間で3回にわたり優先株を発行し、さらに定額増資や転換社債を発行して資本市場から合計511億円を調達しました。これらの資金はすべて借金の返済や運転資金の補充に使われており、実際に事業で稼いだお金では足りない状態です。大株主の保有株式の約60%を担保にして資金を調達しているほど、資金不足が深刻です。
5. 一般投資家への注意
表面上は業界のリーダーであり、売上高が年々増加しているように見えるこの企業ですが、実際の成長は「見かけ上のもの」です。稼いだお金の大部分はすぐに現金化できない未回収債権であり、自己資金の生成能力が非常に弱いです。外部からの融資に依存しており、業績説明会でさえも重要な問題には答えられません。情報の透明性が極めて低いため、もし今後融資環境が厳しくなったり、病院の支払いが遅れたりすれば、資金繰りの破綻リスクが高まります。一般投資家が「業界のリーダー」「売上高の増加」という表面的な情報だけを見て投資を行うと、大きな損失を被る可能性があります。